経済人のコラム 時局寸評
倒産と個人保証
第二次小泉内閣が発足しましたが、景気は一向に良くならず、中小企業の悲鳴は、全国から上っています。
「構造改革すれば、景気は良くなる」、「銀行の不良債権がクリアーされれば、景気が良くなる」と言われ、中小企業はその日のくるのを、耐えて、忍んでがんばっています。しかしその日まで、待てずに、倒産する企業が相次ぎ、いろんな悲劇も発生しています。
昨年の自殺者は3 万4 千人で50 歳~60 歳代の自営業者が多いようです。倒産という悲劇は、自分だけが免れるものではなくて、事業経営者は会社の大小にかかわらず、すべての企業がその「恐怖」に直面しなから、事業を経営しています。
私達は資本主義のもとに、事業を行っているわけであります。資本主義の基本理念は「適者生存」であります。つまり、資本主義は倒産、廃業を前提にした制度なのです。この制度だからこそ、社会が発展し、人々が豊かな生活を享受しているのです。
倒産のない社会は国営企業の社会主義の国です。20 世紀は、資本主義が一番適した経済制度であることを、いろんな犠牲を払って 立証した世紀でもありました。
誰でも、常に危険と隣り合わせる制度であるがゆえに、資本主義には、2 つの特徴があります。1)企業経営は有限責任であること、2)リカバリー(再起)ができる社会であること。
この有限であるべき責任を、中小企業は「個人保証」を求められて、無限責任にさせられているのです。「個人保証」のために倒産も、廃業も再起も出来ないのです。明るく活力ある人類が考え出した最高の制度である資本主義を暗くみじめにしているのが「個人保証制度」です。
銀行は「お客様から預った大切な、お金だから」と言います。我々も取引先から預った、大切な商品を保証人も、担保もなく「リスク」をとってビジネスしているのです。
我々事業主も「大切な家族や、社員を預っている」のです。「担保や保証」に頼った融資から「人と事業」をみて仕事を応援し事業を伸ばし、リスクをとる融資に変えていくことが、明るい資本主義になるために必要であると思います。