経済人のコラム 時局寸評
若者が切り開く未来
アテネ五輪の日本勢の活躍は、久しぶりに「日本の元気」を感じ胸のすく思いがした。日本テレビ系列局の五輪視察に参加して開会式を見てきたこともあり、その後の競技も、テレビ観戦だが、関心を持って見ていた。
開会式は、108 年振りに近代五輪発祥の地アテネに戻ってきたことを意識して、斬新な構成、華々しい雰囲気のなかにも、「歴史」を強く演出した見事な舞台であった(もっとも、各国の入場行進が長く、6 時間もじっと座りっぱなしだったのには閉口したが…)。
日本の金メダルラッシュには新しい感覚の若者のパワーを感じた。
水泳で史上初の2 冠に輝いた北島康介選手は、100 メートル平泳ぎで優勝した後のインタビューで「ちょー気持ちいい。鳥肌ものです。やる前からハンセンとの勝負だと思っていた。気持ちの面で絶対に勝ってやると思ってスタート台に立ちました。200 メートルでも最高のパフォーマンスを見せられるよう頑張ります」と胸を張って答え、柔道女子48 キロ級で連覇した谷亮子選手は「たくさんの方々が長年応援してくれたので、毎回夢を持って畳に立つことができました。その応援を力に変えることができたのが勝因だと思う。田村亮子でも谷亮子でも世界一になれて最高です」と自分の気持ちをストレートに表現していた。物おじしない、堂々とした受け答えや態度は、たいしたものである。
期待されながら、その重圧に負けてしまう日本選手。国際大会で、かつてはそんなシーンが山ほどあった。今回も2、3 見られたが、メダルラッシュの推進力は、間違いなく新感覚の若者の台頭によるものである。
競泳や柔道、体操という「日本のお家芸」の復活には、従来の慣習を見直し、科学的トレーニングの導入など「変化した組織」のバックアップも指摘されている。
フクスケを再建中の藤巻幸夫社長は、ある雑誌の五輪特集のなかでこう述べている。「従来のしがらみなどから解き放たれれば、まだ日本もやるじゃないか、ということでしょうか。現在、しがらみとか古くからの習慣、因習などにとらわれている競技、団体、組織ほど、逆に考えれば可能性があるということですよ。楽しく、目標を立てて、周りを気にせず、自分を信じてどんどん前進です」
私もグループ会社の会議や集会で、機会ある度に「若い社員の考えをどんどん取り入れよう」「昨日と同じ事をしているようでは駄目。気が付いたその時にどんどん改革していこう」と訴えている。
地方の中小企業に景気回復感はなく、山梨も依然元気が出ていない。その要因はさまざまあると思うが、低迷からの復活には、組織の慣例や伝統を見直し、若者の活躍で元気を取り戻したアテネ五輪の「ニッポン」に1つのヒントがあるように思える。
「山梨の元気」「会社の元気」回復に向け、組織の古い体質を改善し、若者に大いに活躍してもらおうではありませんか。