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TOP 経済人のコラム(時局寸評) 道州制見据え官民で行動を

道州制見据え官民で行動を

 日本では過去150年の間に全国民を巻き込んだ2回の大改革があった。1860~70年代の明治維新、それから約70年経過した1945年の終戦後の改革。
それから70年を経過しようとしている現在、道州制導入という大きな改革が検討・計画されている。人間も60~70歳くらいになるとあちらこちら痛んでくるが国家も同じであろうか。

道州制が実現すると「国」「道州」「基礎自治体」が存在し、おのおのの役割分担が明確化され、基礎自治体は地域密着型の自立した運営が求められる。山梨経済同友会は、道州制検討委員会を立ち上げ山梨県に与える影響を多角的に検討してきた。

 道州の枠組みについて、近県で行われている審議会の報告書には、「山梨県」という文字はどこにも発見されなかった。どの県にも相手にされていないのか、無視されているのか。その事実を知ってわれわれ会員は大きな危機感を覚えた。

 道州制という平成維新の実現について疑問視する人々もいるが、いずれにしても日本はグローバル化が進む中、大きく新しいかじ取りを迫られている。山梨県民がその日をよい形で迎えるためには最悪な状況を想定し、最良の対策を行い、その変化に先駆けるべく行政、企業、県民が一体となって共に考え、共に行動していかなければならない。

以下、山梨経済同友会が日ごろから議論し、提言し、行動している内容を述べる。

 「数は力なり」と言われるが、このまま無策でいると県内人口は2030年には80万人を切ってしまう。県全体の活性化を阻害する大きな問題だ。

企業誘致、出生率向上、定住人口・交流人口の増加策を講じ、潜在成長率全国七位といわれる土壌を背景に、横内正明知事が示す「暮らしやすさ日本一」を目指した 「チャレンジ山梨行動計画」をぜひ成功させてほしい。

山梨を元気にする最良・最短の施策は、自然の恵みを活用する観光事業・地場産業の振興である。
観光立県といわれているが、各自バラバラでなく、官民が協働してベクトルを合わせ、山梨ならではの独自性に富んだ振興策を打ち出すべきである。
この分野からの税収増額を目指すならば、県の年間予算で建設事業費988億円(予算対比全国トップクラス)に対して、観光関連が6億円(全国41位)ではあまりにも少なすぎる。

日本中が苦しんでいる行財政改革も避けては通れない問題だ。
県税収入1,139億円では賄いきれない人件費1,286億円(一般職など4,300人、教育関係職8,700人、警察関係職2,000人)。この人数と質と配分は妥当か? 職務を分析する一方で民間より高額といわれている給与体系を見直してほしい。

人件費、公共事業費など歳入・歳出の見直しを行い、既に破産にも等しい一兆円を超す債務残高をどう削減していくのか。
他県の成功例を参考にして事業仕分けを導入するのも一つの手段である。

県民の代表としての議会は正常に機能しているのか? 県庁の改革をどう進めていくのか? そのほかにも教育問題は? 環境問題は?

山梨県を取り巻くさまざまな課題が山積するが、多くの「?」を人ごと、人任せにしてはいけない。

 今こそ、産官学、全県民が一体となって解決しながら、五年後、十年後の実現可能な「こうなる山梨」ビジョンを明確に描き出していこうではないか。