経済人のコラム 時局寸評
山梨の世紀来たる
県内は、平年より早い梅雨明けとともに盛夏に突入した。水が恋しい季節である。
当県は「海」こそないが、「水」に関しては質、量ともに世界一を誇れる。
良質なミネラルウォーター産出量はシェア4割弱と、ダントツの全国トップある。
味わいは軟水、硬水の好みは分かれようが、軟水部門では世界レベルであろう。
…などと思い巡らしていたら、梅雨明け直後にタイムリーに舞い込んだ、甲府市内で開催の「天然水フェスタ」(会場は岡島百貨店特設会場、後援は山梨県、やまなし観光推進機構、山梨県ミネラルウォーター協議会)のチラシに誘われるままに、早速足を運んでみた。
灼熱の街路から、清冽な水をテーマとした会場に足を踏み入れた途端、まるでマイナスイオンを浴びるようなさわやかさに汗が引いた。
会場では、海外有名ブランドや甲府市の上水道水の特別参加を交え、県内全域の天然水の競演が壮観だ。加えて、「水育」と銘打った軽妙な学習コーナーがあるほか、何といっても飲んでみなくてはということで、カフェには飲み比べや上質な水出しコーヒー、ウイスキーの水割りまでそろっている。
地域資源に関する情報発信のモデルケースと感じた。
今回は第一回とあり、今後のさらなる進化にも期待したい。
県内では、おととし、成功裏に幕を閉じた「風林火山博」以降、民が主導して官がこれを側面サポートするプロジェクトが徐々にではあるが加速をみている。
それらに通じるのは、地域の活性化は、まずは、地元の県民・市民が自らの「ふるさと力」を再認識し、その誇りを次世代と域外へ発信するという正統なアプローチである。
今、わが国を取り巻く鍵は、環境と高齢化への対応=すなわちウェルネス(広義の健康観)である。
この風を利する上で、山梨は「水」に限らず強みに満ちており、隣接する東京圏と役割分担を行いながら共生できる素地がある。
「国の光」(地域資源)を磨いて効果的に発信することこそが、本来の「観光」の在り方であろう(語源は中国の易経より)。
正に山梨の世紀到来である。