提言書 |
県都活性化委員会 甲府市中心部の学校跡地活用 |
提言にあたって 現在の県都甲府市を取り巻く産業環境は、工業面においては中国などの新興工業国の成長等により地場産業の宝飾、ワイン、ニットなどをはじめ、電気・電子、機械・金属製造業など総じて厳しい状況が続いています。 また、商業・サービス業等についても、昭和40年代後半からの高度成長による地価の高騰や道路網の整備、さらにライフスタイルの変化などに伴い、若者を中心として甲府市周辺部の甲斐市、昭和町、田富町などへの人口の流出が活発となり、いわゆるドーナツ化現象が進み、この結果、ロードサイド型の店舗や郊外型大規模ショッピングセンター等の出店が加速されて中心商店街は衰退化の一途を辿っています。 これらの影響などをうけて、市の人口もピーク時の20万人強を割り込み、特に中心部では人口の減少と高齢化が進んでおります。 山梨経済同友会県都活性化委員会では、このような県都の現状を鑑みて、今後の甲府市中心部の活性化について具体的な提言を行うことをその目的としました。 委員会においては、歴史ある甲斐の府中としての甲府市という視点と、今後ますます厳しくなる都市間競争の中で生き残る甲府市、そして、そこに住む生活者が甲府市の住民であることを誇れる街であること、さらに甲府市を訪れるビジターが「来て良かった」と思うような街づくり、すなわち、どのような環境変化になろうとも魅力ある甲府市づくりを提言の基本とする方向で討議を行ってきました。 また、内容については当初いくつかの視点からアプローチを行う意見がでました。その中で、今年度の主たるテーマとして「定住人口の増加」をあげ、甲府市を取り巻く現状の分析や他県の先進事例視察等を含め、多角的に協議を重ねてきました。今回は甲府市中心部活性化に向けて特に実現可能性の高い「学校跡地の民間活用」に的を絞って提言を行うことにしました。 関係機関並びに関係者におかれましては、どうか本提言書をこれからの甲府市中心部の活性化に向けた具体的な実行策としてご活用いただければ幸いに存じます。 県都活性化委員会 委員長 清田嘉一 -甲府市中心部活性化についての提言- 「中心部学校跡地への高層住宅の建設による 定住人ロの増加を早急に図ること」 甲府市の人口は昭和60年の202,405人をピークとして、以降年々減少傾向を示し、平成15年は194,462人と昭和50年の時点まで低下しています。 一方、世帯数は平成16年4月現在で79,702世帯となっており、ここ数年間8万世帯前後で大きな変動はなく、いわゆる核家族化、世帯の少人数化が進んでいます。 一方、甲府市においては明治以来の県都であるため、以下のようなさまざまなインフラが整備され、これに伴う好条件が揃っています。 【甲府市の好条件】 1)行政施設・機能が集中している 2)学校、病院、文化施設、スポーツ施設などが多く、内容面でも充実している 3)甲府駅は中央本線と身延線のターミナル駅で、乗降客は県内一である 4)山梨県の概ね中心位置にあり、県内のどこからでも1時間半程度で訪れることが可能である 5)百貨店があり、県内でも最も店舗が集中している商店街を有している 6)上記に伴い住民の生活がしやすい しかしながら、現在全国的に進んでいる市町村の合併問題については、甲府市は近隣市町村との話がなかなか進んでいません。 この理由としては、「甲府市と合併すると税金が高くなる」との巷間の話が聞かれますが、当委員会の調査結果においては、住民税や都市計画税などについては、基本的に全国一定率となって特に大きな相違はなく、どちらかというと大きな都市に吸収される周辺部自治体の不安の方が合併反対論の主流ではないかとの結論に至りました。 この結果、もっと甲府市中心部の良さを一般にアピールする必要があるのではないかとの意見も多くの委員よりでました。 また、近年の少子高齢化社会においては、年々増加する高齢者にとって郊外の一戸建て住宅はその維持管理面においてかなりの労力を必要とするなどの問題点も見られ、この結果として最近の甲府市中心部におけるマンション販売の好調さなどもあげられました。 これらの協議をうけて、当委員会では、具体化可能な甲府市中心部の活性化方法として、「学校跡地への高層住宅の建設による定住人口の増加」を提言することにしました。 具体的には、以下のような内容を提言します。
提言の理由としては、以下の各点があげられます。 1.中心部の小学校統合による統合された小学校の跡地活用が考えられること 2.近年、都市中心部における賃貸型あるいは分譲型高層住宅の入居率並びに販売率が高いこと 3.中心部の人口増加のためには、一戸建て住宅ではなく、空間を活用した高層型住宅方式の方が実現性が高いこと 具体的な事例として、相生小学校をモデルケースに当委員会でシミュレーションを実施しましたが、200戸以上の賃貸住宅は可能であり、収支面においても市所有の土地代を無償とした場合、採算性は確保できるとの結果になっています。 なお、土地代を無償とした場合においても、甲府市へは住民税など諸税が入ってくるうえ、中心部商店街への波及効果等も大きく、甲府市中心部活性化に向けて有形無形の好影響を期待することができます。 ちなみに、市内の各小学校は「地域の緊急避難先となっているケースが多いが、この代替地はあるのか?」という課題点があげられますが、例えば相生小学校に高層住宅を建設した場合は、近くの春日あるいは穴切小学校を緊急避難の代替地とする方式等が考えられます。 また、財政面からみても多額の投資費用が見込まれる市営高層住宅の建設は困難との問題点が予想されますが、これに対しては、いわゆる民間資金を活用したPFI方式等による建設が考えられます。 山梨経済同友会県都活性化委員会においては、以上のような提言の実現により甲府市中心部の活性化を図ると共に、これらの波及効果として甲府市民全体の意識の向上を目指すものであります。 |
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